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ボルダリングの魅力

ボルダリングとは?
 ボルダリング Bouldering はロッククライミングのあり方の一つです。「大きな岩」を意味する“boulder”が語源です。
 ロッククライミングは、アルプス山脈やヒマラヤ山脈の岩山を登るような「アルパイン・クライミング」を含む、ハーケン、ボルトなど支点支持具を多用する「エイドクライミング」と、登る動作を支えるためとしては道具を用いない「フリークライミング」に分かれます。ボルダリングはフリークライミングに属します。
 ロッククライミングの一種ですから、もちろん山に出かけて、自然の岩で楽しむこともできます。ですがここでは、屋内に設置された人工の壁にチャレンジする「インドア・ボルダリング」の魅力を中心にお伝えしていきます。
 
道具が少なく、手軽に取り組める
 ボルダリング以外のフリークライミングでは、登るためではなく転落時の命綱としてロープを使います。そのため、ロープをかける支点としての道具(岩に打ち込むボルトや割れ目にセットするナッツなど)や、身体にロープをつなぐためのカラビナやハーネスなどが必要になります。
 これに対し、ボルダリングで使うのは専用のシューズと滑り止めのチョークだけ。チョークを入れるバッグとシューズさえあれば、そのほかのファッションは自由です。動きやすければ何でもOK。
 つまり、さまざまなスポーツの中でも、ボルダリングは少ない初期費用で手軽に始められるのです。
 
基本、ソロスポーツ
 ボルダリング以外のフリークライミングでは、命綱を保持して手助けしてくれるパートナーが必要になります。しかし、ボルダリングは命綱を使いませんので、パートナーは不要。基本的にソロスポーツなのです。
 ですから、自分ひとりの都合・スケジュールで取り組むことができます。
 
インドアならすぐ近くに
 インドアのボルダリングスポットは、今や広く全国各地に作られています。アウトドアの自然岩壁もいいものですが、インドア人工壁にも数々のメリットがあります。
 まず、街中にありますので、遠くの山に出かけるよりも時間やおカネがかかりません
 また、インドアである以上、天候の影響を受けません。エアコンも効いています。そして理論上、一日中のどんな時間帯でも楽しめます。ですから、雨の日でも会社帰りにちょっとだけとか、休日に一日じっくりと……など、自由な取り組みが可能になります。
 さらに、人工壁なら、グリップポイントの配置を工夫することで難易度や戦略性を簡単に調整できるのも大きなメリットです。同じ配置の壁でも、登り方を変えればちがった楽しみ方ができるくらいですから、壁そのものがときどき変わるとすれば、同じ一箇所のジムに通い続けていても無限と言えるバリエーションでクライミングが楽しめるわけです。
 
エクササイズの質・ダイエット効果
 ボルダリングは、四肢の指先やつま先に力を込めて身体を支え、持ち上げるスポーツです。ですから、脂肪を燃焼させる有酸素運動の比率は低く、無酸素運動の比率が高いエクササイズであると言えるでしょう。
 こういうとなんだかダイエット効果が低いように思えてきますが、そうでもありません。まず、クライミング動作中のカロリー消費は有酸素運動よりも急速です。
 ただ、本当の意味で健康的で安全なダイエットとは、エクササイズそのものによるカロリー消費によってなされるものというより、運動によって中長期的に骨格筋量が増え基礎代謝がアップすることで、毎日の日常生活全体でカロリー消費が増えることによってなされるものである、という点に注意を向けてください。
 ボルダリングを続けていると、広背筋、脊柱起立筋、腹直筋、腹斜筋といった、ふだんの生活ではあまり使われない部位の筋肉を含めて、全身の広い範囲で筋肉が発達します。基礎代謝アップによるダイエット効果は、有酸素運動と同じくらい期待できます
 また、無酸素運動が主体ですので、筋繊維の中でも大きな力を瞬間的に出せる「速筋繊維」が効率的に鍛えられます。脂肪組織よりも筋肉の方が比重が高いので、脂肪が筋肉に置き換わっても、思ったほど体重は減らないという現象は起こりえます。しかし、ということは、同じ重さなら脂肪より筋肉の方が体積は小さいのです。筋肉がつけば、たとえ体重が減らなかったとしても確実に引き締まったスリム体型になります。
 
誰でもはじめられ、長く続けられる
 「必要な道具が少ない、初期費用が安い」、「ひとりでもできる」、「インドアならわりと身近にもある」といった、すでに述べた点にも関係しますが、ボルダリングは年齢・性別を問わず、老若男女、誰でも気軽にはじめられるスポーツです。これも前述のとおり、人工壁なら難易度を簡単に調整できますので、初心者は初歩的な壁から取り組めばよいのです。ハードルは全然高くありません
 そしてボルダリングは、長く続けられるスポーツでもあります。
 その理由の一つは、力がすべてではない、ボルダリングに求められる戦略性にあります。身体を支え、持ち上げる力だけではなく、どのような手順でグリップしていくか、どのように身体を動かしていくかといったストラテジーが、壁をクリアするためには必須なのです。このため、ボルダリングの世界では、屈強な男性が登れないコースを、筋力がそれほどでもない女性がスイスイと楽にクリアしてしまうということがよく起こります。
 それだけ、奥が深いのです。
 さらに、ボルダリングは「才能よりも努力が報われるスポーツ」と言われます。持って産まれた能力に関係なく、がんばればがんばっただけ返ってくる上達の実感が長く続けられるもう一つの理由です。
 難易度や戦略性の調整が容易というインドア人工壁のメリットは、もちろんこの点にも大きくかかわります。同じジムに通っていても、壁はどんどん変化します。どれほど上達しても、チャレンジしがいのある壁は次から次へと立ちはだかるわけです。
 だから、長く続けられるのです。
 
さまざまな楽しみ方も
 ボルダリングはひとりでもできるスポーツです。
 けれど、仲間がいればもっと楽しいスポーツでもあります。
 老若男女を問いませんから、カップルやファミリー、職場の同僚や同窓生など、つながり方を問わずさまざまなグループで参加することができます。
 それだけではなく、ひとりでジムに通い続けていたとしても、まったく見知らぬ人と同じクライミングの時間を共有するうちに、仲間ができることもあるでしょう。
 見知った者同士で応援しあうのももちろんいいものですし、ボルダリングには戦略性がありますから、ルートを観察して攻略法を互いにディスカッションするのもいいでしょう。
 仲間の輪が広がるのも、ボルダリングの楽しみです。いちばんの楽しみと言ってもいいかもしれません。
 それに、インドア・ボルダリングなら、仲間のスケジュールが合うときに利用できるフレキシビリティもあります。グループ利用に向いています。
 
上達したら競技にチャレンジも
 グリップポイントを任意に配置できる人工クライミングウォールでは、難易度を調整したり戦略性やゲーム性を持たせたりして、登りがいのある「おもしろい」ルートを作ることができます。また、競技者同士の公平性も確保しやすいといえます。
 そのため、ボルダリングは競技として成立しやすいものとなっています。事実、2000年からはB-Sessionという年間チャンピオンを選ぶシリーズ戦が行われており、2005年からはジャパンカップという年次大会が開催されています。さらに2008年からは、国民体育大会(国体)でボルダリングが山岳競技のうちの1種目として採用されました。
 そういった大きな競技会以外にも、イベント的なものから本格的なものまで、各地でコンペティションが行われています。初心者が参加可能なものだってあります。
 機会があれば、ジム主催の小規模なものでも、または自分たちの仲間うちのものでも、コンペティションにチャレンジしてはいかがでしょうか。競い合うのも時にはおもしろいものですし、ボルダリングに取り組むモチベーションも高まります。
 
ボルダリングの魅力
 いろいろと書いてきましたが、ボルダリングの魅力は、本当のところ取り組む人の数だけあります。その人ひとりひとりにとって、ボルダリングの魅力はあるわけです。この世界に入ってなにが見つかるか。それはアナタ次第。
 とにかく、手軽に始められるのがボルダリング。
 インドアクライミングウォールのある施設によっては、初回体験にいろいろなサービスを用意しているところもあります。まだやったことのないひとは是非、一度体験してみてはいかがでしょうか。きっと、なにかが見つかるでしょう。

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